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FNF Beginnings

Film Noir Discussion with Eddie Muller        -Eddie MullerとAlan Rodeのフィルム・ノワール問答

訳注: オリジナル全文はこちらからどうぞ

Alan Rode: フィルム・ノワール・ファンデーション (以下"FNF") を設立してから、一年が経とうとしていますが、FNF を知らないであろう人達に向けて、FNFの使命を簡単に説明してくれますか?

Eddie Muller: FNF設立は、非営利団体ならば、営利目的の映画館がアクセス出来ないフィルム・アーカイブにもアクセス可能になる、と気づいた時だった。まったく正直なところ、それが元々のきっかけだったんだ。私は人々に、滅多に観る事が出来ない映画 ーLosey の MTry and Get Me! <群狼の街> のようなー を映画館の大画面で観て欲しかった。
 映画祭のプログラムを数年間組んでいて、映画館での上映は、各映画会社に彼らの保管庫に眠っている物に彼らの意識を向けさせ、それらの映画には商業的価値があるという事実を彼らに納得させる機会がある、と明確に分かったんだ。

A.R: ではフィルムの保存に関する、FNFの具体的な計画はどのようなものですか?

E.M: 目標は、クラッシック・フィルム・ノワールの現存する35mmプリントフィルムすべてを確実に保存する事。
 私が今も信じている数少ない物の一つは、映画がもたらす魔法なんだ。その魔法は映画館で徐々に失われつつあるが、私達FNFは、極上のクラッシック作品を通じて、人々に映画の魔法を体験してもらいたい。映画を映画館で、他の人達と共に観る、それは日常とはかけ離れた心理状態を差し出してくれる。今年の4月、Larcenyエジプシャン・シアターで上映した時、君も居たよね... だから分かるだろう、「発見」や「再発見」する素晴らしさを。家で映画を観ていて、電話に出るために一時停止したりするのとは、まったく違うんだよ。
 だから、FNFの使命には二つの要素がある:フィルムの保存と、そしてそれらの映画を上映する場所を見つける事ー それが新しいプリントを作る事に繋がるからね。

A.R: 多くの本格派映画ファンや熱烈なフィルム・ノワール・マニアは、フィルム保存と財政的な収益性とが切り離せない関係にあるとは知らないだろうと思いますので、どのように関連しているのか、詳しく説明してくれますか?

E.M: 映画会社は利他的行為にまったく関心がない。彼らはお金を儲ける、というただ一点のみのためにビジネスをしている。だから彼らのフィルム・ライブラリーは純粋に利益を生むものであるべきなんだが、何百万マイルものフィルムを保管するには莫大な費用が掛かる。
 もし彼らが50年前の映画から儲ける方法を思いついたら、彼らは英雄だ。またもし、彼らが映画を愛する純粋な気持ちから、絶対に上映されない無名の映画の新しいプリントを無理矢理にでも作ったら、彼らは恐らく解雇されてしまうだろう。
 そこで FNFの役割は、彼らに協力して知られていない珍しい映画を捜し出し、それを再び映画館で上映するようにする事なんだ。1本の映画で 8~10 の上映契約を取る事が出来れば、その映画の新しいプリント費用を出しても映画会社は採算がとれる。ホーム・エンターテインメント市場と比べたら、ほんの僅かな金額だが、より底辺の知られていない映画にも人々の注目を集めさせ、市場を作り上げているのは、FNFのような団体なんだ。運が良ければ、それらの映画は最終的にDVDとして再販されるかもしれない。

A.R: 映画会社は自分達の保管庫に何があるのか、完全に把握しているのですか? 保管している映画の保存管理を間違いなく行うために、映画会社はどのようにして、それらのデータを把握したり、フィルムの状態をチェックしているのですか?

E.M: ほとんどの映画会社には管理者として優秀な人達が居る。例えばパラマウントの映像資産/保存管理部長の Bob O'Neil のような人物がね。彼は古い映画の新しいプリントを作りたがっていて、限られた予算をシェアするのに、FNFと張り合っているんだ。
 今年の4月、FNF を紹介するため、私は全ての大手映画会社とミーティングをしたんだが、Anita Monga の FNF理事としての存在は、絶大な効果があった。彼女がすべてのミーティングをセッティングしてくれたんだ。映画会社は、彼女を全米で最も経験豊富で成功したブッキング・エージェントの一人として認めているからね。【原注: Anita Monga はサンフランシスコのカストロ・シアターと20年近く上映契約を行っていた】
 全般的に見て、私は映画会社の協力姿勢や熱心さに感心したよ。以前はフィルム・アーカイブを調べたり、ある特定の映画に関する精確な情報を得るのに難渋した事があったが、それは変わりつつある。正直に言うと、DVD革命がその変化に大きく関係していると思う。DVDは本当に知識豊富な若い世代の観客を生み出しているんだ。彼らが恵まれていて、もし適切な都市の、適切な上映会場に居れば、35mmプリントのフィルム・ノワール ーそれもかなり珍しい作品ー を大画面で観る事が出来る。
 何年も前から1スクリーンの映画館が失くなると言われ続けてきているが、私達は特定の市場でクラッシック映画観賞が再流行しているのを目の当たりにしてきた。ゴールデン・ステート・シアターが、カリフォルニアのモントレーでついこの間再オープンしたが、シネマコンプレックスを600席の1スクリーンの従来館に改装したんだよ。私は来年6月にそこで James Ellroy と一緒に The Prowler<不審者>ー James の大好きな映画ー を上映する。ほらね、ここにも新しい35mmプリントが渇望されている映画があった。

A.R: では、“失われたフィルム”とは、どういう物ですか? ただどこかに置き忘れられて失くなっているだけなのか、それとも、入手不可能な物を指すのか、または誰も捜そうとする者が居らず、入手困難になっている物なのですか?

E.M: 皮肉な事に、亡失の重大な危機に ー少なくとも映画館で上映不可、という意味においてー 瀕している映画はパブリック・ドメインとなった映画なんだ。例えば D.O.A.『都会の牙』Too Late for TearsThe Strange Love of Martha Ivers<呪いの血> というような35mmプリント現物が存在せず、使い古しの傷んだ16mmプリントが出回っている作品。そういう映画の何本かは格安DVDとなって低価格市場に溢れかえっている。でもそれは映画館で上映可能なコピーがあるという事ではないんだよ。
 それ以外で、フィルムが“失われる”ケースは、その映画を捜し出そうとする者が誰もいない場合だ。The Prowler<不審者> がよい例だね。クリスタル・ピクチャーズが現在流通しているただ一組のプリントを持っている。この映画はホライゾン・ピクチャーズが単独で製作し、ユナイテッド・アーティストを通じて配給された。
 新しいプリントを作るためには、フィルムのオリジナル要素を捜し出さなければならない。つまり、それを現在持っている誰か ーその人物が著作権を所有しているとは限らないがー に、骨を折る価値がある、と納得させる必要があるんだ。FNFが使命を果たす上で重要な役割の一つは、映画を救済するために異なる企業や団体、人々を一致協力させる事だ。実際、それはそれほど難しくはない。ただ常にアンテナを張っている立場にいなければならないだけだよ。【原注: The Prowler<不審者>のフィルム要素はフランスで見つかり、現在は UCLAフィルム&TVアーカイブが所有している。FNF は修復費用を提供し、UCLAフィルム&TVアーカイブと協同で修復作業を行う予定である】
(訳注: 2009年にThe Prowler<不審者>のフィルム修復は完了しています。FNFと Stanford Theatre Foundation が協同で修復費用を提供し、修復作業は UCLAフィルム&TVアーカイブが行いました。修復されたプリントを元に米国とフランスでDVD化もされ、日本でも日本語字幕付DVDが発売されています)

A.R: フィルムがただ自然に劣化し、物理的に消滅する可能性は現実的に有り得ますか?

E.M: もしそのフィルムが1950年代以前の映画で、かつアセテート・ベースの安全フィルムが失われているか破損していて、更にニトロセルロース・ベースのナイトレート・フィルムが正しく保管されていなかったとしたら、有り得るね。イーグル-ライオンの作品は厄介だ。Guilty Bystander のようなフィルム・クラッシクスの作品も同じ問題を抱えている。
 私達は UCLAフィルム&TVアーカイブと、彼らが所蔵している映画のうち、いくつかのプリント修復を提携して行おうと、とても有意義な話し合いをしたんだ。今この場で思いつくだけでも、The ChaseNight Has a Thousand Eyes『夜は千の眼を持つ』No Man of Her OwnStreet of Chance ーすべて Cornell Woolrich の映画だー、それにAmong the Living<地下室の狂人>Red Light『赤い灯』The Man Who Cheated HimselfRepeat Performance といった作品の35mmフィルム要素を、先月の内だけで捜し出せた。これらの作品の何本かは、TV用の16mmプリントしか今は残っていないし、他の作品はまったくプリントが存在していないんだ。今はまだ、ね。

A.R: サンフランシスコで行われる NOIR CITY 映画祭はとても素晴らしい成功を収めていますね。その成功の原因は何だと思いますか? NOIR CITY 映画祭を他の都市でも開催する事は今も検討中ですか? また、2006年1月の NOIR CITY 映画祭の予定を少し教えてくれますか?

E.M: NOIR CITY 映画祭成功の最大の要因は、サンフランシスコ・ベイエリアの観客だよ。彼らは家を出て、町を ー橋までもー 横断して、入場料を払ってくれる。60年前の映画を観るために、だ。彼らは最高だよ。他の都市での開催は、ケース・バイ・ケースだね。映画祭の作品編成者達は縄張り意識が強いし、自分達で作品を選びたがる ーポートランドでのように。ポートランドのミュージアムは FNF の名前を勝手に使って、NOIR CITY 映画祭を3月に行い、私達が以前の映画祭で発見した多くの作品を上映したんだ。まぁ別にそれは構わない。それらの作品がお金を稼いでくれる事が大切だからね。ただ私は "NOIR CITY" という名前を使った相手には断固とした措置を取る。今や "NOIR CITY" と言えば、FNFの事を意味するようになっているからね。だがそれらの映画館がプラッターシステムでフィルムを駄目にしてしまったとしても、私は文句を言わないよ。よくある事だ。映画会社が古いフィルムを映画館主へ送りたがらない理由の一つではあるけれどね。
(訳注: プラッターシステムは複数のリールに分かれているフィルムをすべて繋ぎ合わせて一つのプラッター ー銀色の円盤のような物ー に巻き取る映写方式ですが、フィルムを引っ張り過ぎたり、フィルムを繋ぎ合わせる際にフィルムに修復不可能な傷をつけてしまう事が非常に多いため、保存用のフィルムはプラッターシステムで上映は不可なのだそうです)

A.R: 最後の質問です:FNFへ寄付するにはどのようにしたら良いですか?

E.M: ここをクリックして。

訳注: オリジナル全文はこちらからどうぞ。なお、プラッターシステムに関しては、Eddie Muller氏よりご教授頂きました事、ここに書き添えておきます。

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